オーロラオーラ奏でよ賛美歌

上等なスーツを途中で用意して、ネオンが輝く上品な建物の前に車を止めた。派手にやるのはに怪我をさせる危険性がある、という団長の計画で正々堂々乗り込む計画だ。あくまで迎えに行くのは団長。俺、マチ、パクノダそしてノブナガはもう到着しているかもしれないマフィアの殺しと後片付け。




高級車2台の移動をボーイに任せてエントランスへ向かう。 一面の大理石、壁には名画の数々にダイヤモンドのシャンデリア、そしてそれを赤で色どる花たちのワルツ。金持ちばかりが訪れる遊び場というだけある。 フロントに立つ上品な女は俺達を詮索するかのように上から下まで疑いの目で見渡した。

「お客様、こちらのクラブご利用は初めてでしょうか。」
「ああ。」
「当クラブはプラチナカード以上をお持ちでない方の受付をお断りしております。」

すっ、と差し出された5人分のカード、それはプラチナどころかすべてブラックの名称をもつものだ。

「なっ・・・!?」
まさに心底驚いているというのはこうゆう表情のことを言うのだろう。

「大変失礼致しました。」

深々お辞儀する受付嬢に「・ラプソドルにお相手願いたい。」と団長が上品な声色で切り出した。 後ろでバタバタと音が聞こえて振り返れば、団長の普段とは全く違う態度にノブナガが噴出しそうになったのをパクノダが抑えている。 こんなところでノブナガの大笑いが始まったらそれこそ大注目を浴びてしまう。

「しー!静かにしてよノブナガ!」



困った顔を見せた受付嬢はパソコンを叩いてスケジュールをチェックしているらしい。

「もうしわけございません、ラプソドルは現在他のお客様のご相手をしており・・・。」
「そこへ通してくれ。このカードの残金、全て払ってもいい。」

彼女が言い終わる前にクロロが一蹴した。 顔を上げた彼女は「失礼します。」とカードを取りその残金を調べているようだ。

「・・・3億ジェニー。本当によろしいのですか?」
「ああ。」

その返事をきいた受付嬢は案内役に目で合図を送る。

「最上階、ラゴドールの間でございます。」
どうぞいってらっしゃいませ、とまたお辞儀をする彼女に「そんなはした金でラプソドルを拝見できるなら毎日でも来ますよ。」と団長がセールススマイルを送った。























ガラス張りの屋上行きエレベータから夜景を眺めつつ少し感傷に浸った。 遠くで点滅しているビル屋上のヘリポートランプが1秒1秒を視界を通して俺に告げる。 シャルナークがを見つけたと言い出したとき、昔流星街で抱いていた感情が湧き上がるような気がした。

が姿を消してから俺は自問自答を繰り返しては、彼女を見つける方法を考え続け実行にも移した。

それが不成功に終わるたび落胆の表情を見せていたシャルとマチの気持ちを、お前は知ってるか?


一人で寝る冷たいベットに慣れるのにはかなりの時間がかかった。 ベットに入り、それまで隣に寄り添っていた温かい存在を思い出すたびに胸を締め付けられたような感覚。 そして思考すら支配されてしまう、俺がに本気で惚れていた証拠だった。 流星街で彼女に会うまで一人で寝るなんて当たり前のことだったというのに。


『情けないな。』

そう何度呟いたか分からない。


出て行ったのはの意志、だが取り戻したいという理性に制御はきかず時間を見つけては一人で探しに出た。

流星街はもちろんに縁のある場所、流星街出身者が集まりそうな地域まで。
だが見つけることは出来なかった。 そしていつしか、もう会えないだろうという結論が自分の中で導き出されていた。 だから実際、今同じ建造物の中にいると思うと不思議で仕方がない。


迎えに来たことを怒るだろうか、たとえ喧嘩になったとしても もう離す気はないのだけれど。



















「お待たせいたしました。こちらでございます。」
チン、とエレベーターが開くと同時に続く赤いカーペットに足をすすめた。 降り際シャルが案内役にアンテナをさしてエレベータを1階へ向かうよう操作した。 赤いカーペットの終焉には堂々と立ちはだかる金で装飾された扉が一つ。

それをノブナガが愛刀で破壊し、あたりに破損物の誇りが舞い上がる。 そして入り口のさきに見えたのは黒尽くめの男3人に銃口を向けられた黒い長い髪。 床に体をつき、恐怖の瞳を浮かべているその姿に目を細めた。



・・・。










「なんなんだてめーらは!」
黒尽くめの一人が叫ぶと同時に目に見えない速さでマチとシャルがそいつらを地に伏せを介抱するが、その瞳の恐怖は消えることをまだ知らない。

。」
華奢な体を手繰り寄せ、抱きしめた。 心臓が大きく脈打つ。こんなにも焦がれた人間がいま腕の中にいる。 腕の中で震える彼女の体が次第にそのリズムを止めていく。

「・・・ク、クロロ?」

「ああ。」

「それに・・・マチ、パクノダ、シャル、ノブナガ?」
その声にメンバーが安堵したオーラを伝わせた。

「来てくれてありがとう。」
オッドアイから流れた一筋の涙を唇で受け止めた。やっと見つけた、俺のジュエル。