オーロラオーラ奏でよ賛美歌

流星街を出てすぐに私は聖書のブックマーク代わりに使っていた金細工の細い飾り物を売ってお金にした。
質屋っていう存在はクロロに借りた本で読んだことがあったから。

その後、お金がないと何も出来ないことを悟った私は働いて稼ぐという方法を知った。 道に絶状態で座っていたら、いかつい感じのおじさんにウチのボディーガードをやらないかと声を掛けられた。 幸運なことにその後も流星街を出た当時の私の念能力でもいい、と雇ってくれる先は結構見つかるものだった。

そして私の人生を変える出会いをしたのもまた仕事先。

私より年下だと思って話しかけた女の子に「あんた、まだまだね。」と一蹴されムリヤリ修行つけるからと連れて行かれた。 うな垂れる私を待っていたのはマチの1000倍以上厳しい念修行。

でも自分でも驚かずにはいられなかった、なぜなら私の念が3年という期間でかなりすごいレベルまで上がっていたのだから。

「これくらいになりゃ十分一人でやっていけるわさ。」

本当の姿で卒業の言葉を言われては涙も出なかったが(笑いをこらえるのに必死で)、ウイングに続いて私も師匠の元を離れることになった。

「あんた、後悔しない人生おくりな。」

何でもお見通しよと言わんばかりの彼女に今度会ったら「なんで私を拾ったのか」と根本的なことを聞いてみようと思う。





















今年で5年。

運命なんてあればもしかして外の世界でバッタリ偶然、なんてことがあるかと思ったけれどそんなに上手くは出来てないみたい。 たとえそんなことがあったとしてもノコノコこんにちわ、なんていえる関係じゃもうないのだとおもう。

私は仲間を捨てて、勝手に出て行った身なんだから。怨まれてるかもしれないな。

幻影旅団、ハンターや少し危ないことに手を出している人間なら誰もが聞いたことのある殺人集団の代名詞。 あのメンバーに自分が入るはずだったと思うと改めて不思議だ。 別に彼らのやっていることを非難するわけじゃない。

あの流星街で育った子供が外で力を持つことを望み叶えただけのこと。
暗殺家として人を殺してきたのは私も同じだ。でも敵対でバッタリ遭遇なんてことにならないのを祈っている。 私だって彼らに殺されたいわけじゃない。





「みんな、げんきかな。」

深茶色のカラーコンタクトをはずして鏡に自分の本当の姿を映す。 そこには透き通るようなブルーレースと光に輝くマンダリンカーネット、クロロが綺麗だとほめてくれたこの目が私は大嫌いだ。

オッドアイなんて、医学的言えば疾患の現象を生まれつき持って生まれた私は マチの念修行を通じて「ああ、やっぱり自分は出来損ないなのだ。」そう思わずにはいられなかった。




「クロロ・・・。」

かつての「友達」から、私の感情はそのカテゴリーを「他人」に移行させようとしている。

時というのは残酷なものだ。

こうやって鏡に映す自分の姿が大人になるたびに遠ざかっていく友人との距離を感じる。でもみんなを置いていった昔の私を恨んでも虚しいだけ。


狂った時計の針は二度と過去には戻せないのだから。