オーロラオーラ奏でよ賛美歌

パクだ。
友人がこめかみに置いた指先の感触に感情を揺らされて流れた涙が血と混じりあい、彼女の手を伝った。

「ごめ、ゴホッ!・・・ごめん、なさい。」
意識が薄れる中で振り絞れるだけの声を何とか形にした。そして数秒後、私の頬に落ちた水が一滴。

それはパクノダのものだった。

!!!!!!!」

パクノダの悲鳴にも似た声がアジトないに反響した。 友達の一番聞きたくない声を聞いてしまったんだ。







ごめん。」

パクノダの反応を見た、イルミが一度断りをいれて私が身につけている薄い服に手をかけた。 血で濡れた胸元の生地を引き裂いて私の首から宝物をはずす。 私が何よりも大切にしてきた蒼い石。それは胸元で血に濡れ本来の蒼をなくしてしまっていた。 私が、だと証明できるものがあるとしたら、それはきっとこの石くらいだろう。


、これプレゼント。」
「なあに?」
「俺とが今一緒にいる証拠。」

昔、渡されたコレを私が今でも大事にしていたなんて知ったら、彼はどんな反応をするのかな。 まだそんなもの持っていたのか、と笑い飛ばされるのだろうか・・・。




パクノダとかいう女がの名前を口に出した瞬間、旅団の空気が揺れた。
そしてリアは地面にへたれ込んで体を大きく震わせている。

に依頼されたあの女は俺が殺すとしても、旅団員からの記憶を奪う依頼は受けないことにしよう。

1ヶ月に1度カフェに行ってといるときにふと見せる悲しそうな顔はきっと旅団が原因だから。


クロロは目を見開いて俺達を見ていた。仲間であるパクノダさえ信じられない、というほどに。 そしてこちらに駆け寄ってくる。それは他の団員も同じように。3メートル近くまで来たところで彼らはその足を止めた。

「パクノダ、どういうことだ。」
低い、冷静な声に名前を呼ばれた手下はの体を両腕で抱え込んで泣き声を漏らしている。

「クロロさ・・・。まだ分からないの?」

これを人は怒りというのだろう。胸やけがするみたいに苦しくなってきた。 俺はこの二人の事情をしらないけど、今回のことは旅団の方に責があるってことは分かる。 こんな無残な姿を前に未だ状況を把握し切れていないクロロ・ルシルフルに鈍感というレッテルを貼り付けてやりたい。


の胸元から奪った石をクロロの足元に投げつけた。 ネックレスの鎖の音だけがシャランと響いて落下する。 これでも分からなかったらこの男を殺そうか。

「これね、私の宝物なのよ。」
なんでそんな汚い石をいまでも身につけているのかと、カフェでに尋ねたとき彼女は笑ってそう答えた。
この青い石はクロロがしているピアスのものとよく似ている。

この2人の関係を想像してみれば、それは強ち間違っていないだろう。






「こっちが本物だよ。」
クロロが石を拾い上げ見れば、いつもムカツク位冷静な表情が一瞬で崩れた。