オーロラオーラ奏でよ賛美歌

今回の依頼にはクロロが直接出向いてきたんだ。

とても見覚えのある女を連れて。





別人か。これが一時間して分かったこと。 その女、顔はと瓜二つだけど、性格がまるで違がかった。 別に自己紹介をするでもされるでもなく、メインは打ち合わせだったからそっちに集中してた。

クロロに引っ付いて離れないこの女と俺が知っている・・・。

少し気になったけどと何か秘密の関係のある女なのかもしれないし特に詮索は入れなかった。

と同じ目の色は少し明るさが違うけど、日に当てないと分からない程度。 まぁいいか、とクロロとその女を追い出そうとした時クロロが言った。

、行こう。」

少し眉間に皺がよった。あんなにそっくりな顔をして、ましてや名前まで同じだなんて何かがおかしい。 プラモデルを抱いてベットで眠っていたミルキを叩き起こして「」とその一家のことを徹底的に調べさせた。

数日後ミルキ用意した資料手がかりにある男を見つけ出した。

10年前、家の殺しに関わった元マフィア。マフィアなんてまるで似合わない森林の奥地で静かに老後を楽しんでいた。 妻だった人間の首を目の前に突きつければ、話すから殺さないでこれ、と当時の状況をぺラぺラ話し出した。
『両親や親戚は殺した。顔の同じ小娘が2人いた。 一人は流星街に、もう一人は入った女は世の中に二度と戻れないと有名な娼婦奴隷地区、マレ・ド・ワールに捨てた』と吐いた。






そして2年前、高級会員制ブリジオットクラブの売れっ子娼婦が旅団に盗まれたという事実かどうか分からないニュースがあったのを思い出した。 それが本当に旅団で保護されたのがという名前の女ならマレ・ド・ワールに捨てられた女のほうを旅団が保護したと考えるのが正解だ。
なぜならあのクラブはマレ・ド・ワールからしか人間を買わないから。


ということは俺が知っている『』は流星街に捨てられた方。

旅団が知り合いだった『』を取り戻すためにクラブを襲ったのだとしたら、取り戻されなければならないのは俺が知っている流星街にいた『』の方であって、あの女クロロの隣にいた『』ではないんじゃないか。

旅団のほとんどは流星街出身だしそこでと接触があったとも考えられる。
それにマレ・ド・ワールなんて区域にあの旅団が用を足しに行くなんて考えられない。

そんなことを考えて、だったら本人達に何がどうなっているのか説明させればいいんじゃないか、とをクロロに合わせようと思ったのが間違いだった。 何よりも、会わせた後にきっと俺には聞かせたくないだろうと、彼女を置いてきてしまったことが。

容易に考えすぎだった。

俺はが過去に旅団とどんな関係を持っていて、どんな感情を彼らに抱いているのか知らなかったのだから。








廃墟にを置いて仕事に行った。 仕事内容は極簡単なもので1時間程度で終わりその後予約してあったホテルに夜中チャックインした。 でもまだから打ち合わせ終了の連絡は来ていなかった。
携帯を気にするのに飽きて、とりあえず血を流すのにシャワーを浴びていたらのオーラを帯びた変な鳥(はいつもカナシャとか呼んでた気がする)が 浴槽の壁から現れてくちばしで湯気が立つ中に血のメッセージを書き始めた。


依頼人  

依頼内容 クロロ・ルシルフルの恋人もとい、レア・の殺害。
     パクノダの操作、旅団から「」の記憶を消させること。

報酬   の全財産。



なにこれ、つまり予想したとおり俺が知ってるが本物でもう一人の「」の名前はレア・
そのレアがの名前を名乗って旅団とやりたい放題してたってこと?レアの殺害は分かるけど、なんで旅団の記憶を?

自分が本物だって言ったんじゃないの?


「鳥、おつかれさま。もういいよ。」
分からないなー、とお湯をもう一度ひねったらいつもはの元へ飛び戻るはずの鳥が意識を失ったかのように浴槽に落下してその姿を消した。

2,3秒の間鳥が消えていくのを目に焼き付けて、バスルームを飛び出した。
こんなこと今までなかった。
の念が消えたということは本人に何かあったということだ。彼女の腕はいい、旅団にも負けないほどに。

ただ、があいつらに疑われ攻撃され、やり返さなかったとしたら?

もし、攻撃できないという感情をが持ち合わせてたとしたら・・・。

「うん、やばいかも。」













ピピピ…

「もしもし★めずらしいねぇ、君から掛けてくるなんて。」
「ヒソカ、今どこにいる?」
「ヨークシンだよ☆ルノーと食事中。」

ヨークシンということはアジトから西に550キロ。ヒソカなら走って4時間あれば来れる距離だ。

「ルノーいるの?俺、今から旅団のとこに行くんだけどヒソカも来てよ。ちなみにルノーも連れてきて。」
「どうしたんだい、ずいぶん焦っているようじゃないか♪」
「早くしないとおまえの大事な死ぬよ。」
「…わかった出よう。場所は?」


アジトの場所を告げ携帯を乱暴にポケットにしまい、15時間前に訪れた廃墟をめざした。






偶然にもアジトへ向かう道で後ろから走ってきたヒソカと落ち合い、あるていどの事情は説明した。 絶をしながら廃墟の扉を開ければ、そこには旅団の見世物のように彼らの前に置かれた赤い人間の塊。 四肢はおかしく曲がっていて、肌につけられた傷は生存を感じさせないほど深い。

髪は黒、長くて血に固められなびくことはない。

その人間の塊に向かって、クロロの脇から飛んできた変な発を斬るのに、俺が鋲を、ヒソカがトランプを投げたのは同時だった。