ズルズル・・・ガンッ。
階段を上がる引きずられた体。段差に折れた足の骨が当たっては白い塊と血痕をその段に残していく。
真っ暗な空間を登るにしたがって日の光を体に感じる、少し温かい光が傷口に熱を持たせた。
最悪、私死んでないじゃない。
その熱がもたらす軽い痛みに意識を起こされると視界には霧がかかったように淡い光が入る。
片目は潰された、今薄く開けているのはブルーレースではなくマンダリンガーネットの左目だ。
私の腕を引きずり前を行くのはフェイタン。
ズルズル・・・
ズルズル・・・
ドシャッ・・・。
ある一定の地まで引きずられ、私は所定の位置に落っことされた。
ごろん、と頭がゆれ、落されたと同時にこんどは骨盤が外れた。
「げッ。」
「うわッ・・・結構ひどくやったね。」
フィンクスが拒絶の声をもらし、シャルが気持ち悪いものを見るように手を口に当てた。
私の体はもはや骨のところどころが白く見える真っ赤な固りにしか他人の目に移っていないだろう。
人間らしい骨格なんて胴体くらいしか残っていない私の姿をクロロは何かを蔑む様な目で見つめ、レアは口元に笑みを浮かべている。
「パクノダ、調べろ。」
レアが腕を回す人物は今何を考えているのだろう。
この醜い人間と自分の隣にいる「」との因果関係か、私とゾルディックの関係か、はたはこれを余興の一つくらいにしか思っていないのか。
はい、と一つ返事で綺麗な女が寄ってくるのを左目が捕らえた。
パクか・・・やばいな。
カツカツとハイヒールの音が近づいてくる。
自分の心臓に手を突っ込んで死のうにも昨日の拷問で神経が遮断されててもう四肢が動かせないし、念なんて発動させられるほどオーラが残ってない。
あとは私が死ぬだけなのに・・・。このままじゃ作戦が失敗しちゃう。
そう思っていたとき、オーラの光がレアの手元で見えたことを私は主に感謝した。
彼女にとって私がパクに調べられることは『』の本当の偽者を露呈するに等しいこと、そんなこと彼女はさせないから。
彼女の低い念能力でも、発を練れば一般人以下の今の私を殺すことは容易だ。
「何のつもりだ。」
クロロがレアの行為を否定する言葉を口にするが、レアは発を飛ばそうとするのを諦めない。
「私の偽者よ!私が片付けるわ。なんで私の格好をしているのかなんて聞きたくないしね。」
言い終わると同時に放たれた彼女の発。それはパクノダを追い抜きまっすぐ私に向かってくる。
レア、まさかこんな形であなたにお礼を言うことになるなんてね。
一応、殺してくれてありがとうといっておくよ。
顔の感覚がないけれど、きっと私は笑っているだろう。
主よ・・・。
目を閉じれば瞼の外が明るく照らされてくるのがわかる。
でも、それは急に途切れて「ああ、私死んだんだ。」と再び瞼を開ければ
そこは天国ではなくて地獄だった。