人格エボルツィオン 人格エボルツィオン セフィーロの朝食は丁度いいくらいにゆっくりだ。

起きて、支度を整えるには十分すぎる時間がある。地球でいうならブランチに近い感覚かな。

「過食が止まらないってカルディナの話は本当だったわね。」

今までは他のみんなと比べてもあまり食べる方じゃなかった私が、今ではフェリオやラファーガといった 男性陣にも負けない豪食家と化したのに少し嫌気がする。






「自然的なものだから心配しなくても大丈夫だよ!」

向かいに座る光は今日も大大大元気。



「そうだウミ、ランティス達と城の庭で球投げをやるんだが来ないか?」

「そうですわね、運動も大切ですもの。」

先輩の風が言うのだからそうなのだろう、確かに食べて寝てでは自分の体に悪い。

「天気もいいし素敵ね!私も参加するわ。」









セフィーロで言う球投げは地球で言うとバレーボールのようなものだ。

「ウミ、行ったぞー!!」

「はーい!カルディナッ!パスー!」

「まかせときー!」

カルディナが優雅に飛び

「くらえッ!カルディナあたーっく」

このアタックはおそらくランティスにガードされる…なら落ちる球を拾わなきゃっ!

体勢を低くカルディナの邪魔にならないように前へ、ネット脇に落ちるボールを取りに走った。

「ウミーーーーーッ!!!!!」

「「「「「え?」」」」」

頭上から聞こえるどなり声、声の本人はまさに窓から身を乗り出して今にも落ちてきそうな体勢で ローブをプレセアにしっかり掴まれている。

「ど、導師!!落ち着いて下さい!」

「あれだけ走るなと言っただろう!そして倒れるな!」










今もなおギャぁギャぁ言っているクレフにフェリオは笑って対抗した。

「導師ー!あまり過保護すぎるのは良くないと思いますよ!」









「プレセア離せっ!ウミを迎えに行く!」

「導師っ!!!!!!だめです!仕事が終わってからにしてください!!カルディナ!今のうちに違うところに移動して遊んでちょうだい!」


「そうだねっ!湖のほとりに移動しようよ!」

光の提案に促されて一同、ボールを持って城を後にする。

「こりゃ、産まれたらセフィーロ一の親ばかの誕生やね。」

カルディナが気の毒そうに視線をこちらに向けている。

「でも、フェリオも今のクレフさんに負けないくらい過保護でしたよ。」
確かに風が妊娠していたときもこんなやり取りを聞いた。






「プレセアっ!!!離せと言っているだろう!!」

可哀想なプレセア…。誰もがそう思っていることだろう。

「離しませんっ!!!お腹の子のためにも運動は必要ですッ!!」



「クレフ―ッ!街でクレフの好きなお酒買ってくるから今日は許してー!」

じゃぁーね!っと両手を大きく振りバイバイの合図。

お腹も大きくなっただけバランスを取るのが難しい。大きく手を振り過ぎて後ろへ倒れそうになった時、

「転ぶなーーーーー!!!!」
ひと一倍おおきくなったどなり声。

ランティスに支えられて万事OK。
















おなかに手を当てて

過保護だけど、良いパパでしょ?

と聞いてみれば

「あっ、動いた。」

まるで「そうだね!」って答えているように。