クダモノいかが? アスパラサラダ 「重っーーーーい!」
「やはりすごい量になりましたわね。」
一緒に持ちましょう、と風が海に助けを出す。

いつもならお菓子を入れて持ち運ぶバスケットに、今日もう入る場所なしと言わんばかりに詰め込まれているのは さまざまな地球の果物だ。
バスケットにはバナナ、リンゴ、マンゴー、桃、クランベリー、クレープフルーツ、サクランボ、オレンジ、イチゴ、ブルーベリー。





前回、セフィーロのお茶会に果物が出され一同の会話が地球の果物になったため、
実際に見せて食べさせてみてはどうかと話し合い、魔法騎士三人は今回セフィーロへ持っていくことを決めた。
「東京タワーからセフィーロへ運ぶのは簡単なのに、どうして家から東京タワーまで運ぶ方が辛いのかしら。」
あぁ、と脱力し一度風へバスケットを預ける。軽く腕回しをしながら体をほぐし今日もいい天気ねと背伸びしてみる。
「明日、筋肉痛にならないといいですね。」
全くよ。と呟きバスケットを真ん中に風と海は城へと歩き出す。









城の厨房ではすでに光が持ってきたスイカとメロンが綺麗にカットされ皿に並べられている。
「すごく綺麗に切ったわね、光!」
「本当に。光さん、包丁の扱いがお上手なのですね。」
「そ、そうかな・・・。」
少し照れた様子の光に
「ランティス様のためにお料理がお勉強したいとよく我々のところにいらして下さるのですよ。」
と、三人の会話を聞いていた王宮の料理長。
なるほど。と風と海は感心するのだった。




それから一時間、三人は持ってきた果物を綺麗に切り分けお茶会の会場へと運ぶ中、
「ウミ、僕も手伝うよ。」
会場の準備をしている時、一番に手伝いに来たのはアスコットだ。

「これが地球の果物なんだね?すごく甘くていい匂い。」
「味も負けないくらい素敵よ。」
ウインクをして笑う海に顔が赤くなる。


いつ見ても本当になんて素敵な女性なんだろう・・・。











会場の準備も整い、メンバーが集まり始める中部屋に注ぐ太陽の光。
最高の茶会日和やねとカルディナがプレセアに同意を求める。

「プレセア、導師は抜けられそうにないか?」
「えぇ、今日のお茶会は欠席なさるみたい。」







プレセアの発言を耳に特にショックは受けなかった。
忙しいのは知っているし、前もって今日来れないかもしれないことを伝えてくれていた。
恋人の自分のために時に無理に時間を作ってくれることを知っていたから
片時も離れたくない、なんて言わない。








「さぁ、みなさんどうぞ召し上がってくださいな。」
初めは興味深そうに地球の果物を見つめるセフィーロ陣。
だが一種類一口でも食べると、誰もが持つであろう未知の物体に対する疑わしさは消えてなくなっていく。

「おいしいッ!」
「ほんまに!甘くてみずみずしいなぁ!」
「うん、うまい!」

「嬉しいわ。そんなに喜んでくれるなら筋肉痛も大歓迎ね。」
本当に嬉しそうに笑う海、風、光にありがとうとセフィーロ一同から感謝の声が上がる。




「なんとなく、何となくなんだけどさ、カルディナってマンゴーっぽくないか?」
光はマンゴーを一口含み笑う。
「そうねぇ、南国のイメージかしら?」

「私はプレセアさんはグレープフツールだと思います。」
「あの少し酸味の強いやつだな。摂関好きなとこが重なるんじゃないか?」
少し意地悪そうにいうフェリオに向かいのプレセアはいささか怒りの眼差しを向ける。
「いえ、プレセアさんのいつも元気なところがですわ。」
失礼ですよ。とフェリオに注意するかのようにクールな風、流石。


「そうゆうフェリオはサクランボよ!」
海が断言するように言う。
「二つで一つ。風とくっついてないと落ち着かないところとかね。」
その考えに風は赤面、一同からはどッと笑いが起きる。

「ランティスは・・・・。う”〜ん、どれだろう。」
「俺はこれが一番好きだ。」
指さすのはイチゴ。

””””””なんかイメージ違う(わ)。”””””



「アスコットはあの橙のヤツだな。」
「オレンジですわね。」


「今こちらにはいらっしゃらないけど導師はどの果物かしら。」
プレセアが幸せそうに切り出す。

「・・・この中で一番育てるのが大変なんはどれやの?」
「ん〜メロンかなぁ。」
カルディナにどうして?と問う光、
「あの頑固さ出してるやつ思うてな。」


「色的に分類するとあのちっちゃいヤツだな。」

ブルーベリーを見つめるフェリオ。
「少し皮の苦みがあるところとかピッタリだな。」






「クレフはクランベリーよ。」

笑って断言する海。
「ウミ、どうして導師がこの・・・くらんべりー?・・・だと思うんだ?」



目を軽く閉じる。

自分と彼しか知らない理由。











「ウミ、これか?私に食べさせたかった果物とは。」
「えぇ。・・・私の中でクレフのイメージはこの果物なの。」

二人で散歩に出かけた時、海が持参したクランベリーのジャム。
甘酸っぱくて、でも余韻が残る果物。

「甘過ぎずとても美味しいが、なぜこの果物が私のイメージなのだ?」

言おうか一瞬迷ったが、もうこの男性に隠すことなどないのだ。
自分の気持ちを伝えたときのように素直に。


「だって私の・・・他のどれとも比べられないほど一番大好きな果物だから。」

あまりに素直な気持ち。

言われた相手はその瞳を彼女にまっすぐ。

彼女の頬に手をあて、二人以外誰も見てはいけない素敵なキス。

























でもその理由を知るのは私とクレフだけ・・・

「・・・・フフッ。秘密よ!ひーみーつw」