赤のタンクと白のサンダル



拝啓姉上

今日、久々に魔法騎士達がセフィーロを訪れに来ました。
迎えに行く途中、森の中に咲く赤と白の色とりどりの花達を見かけました。
無垢すぎる白にあなたを思い出さずにはいられなかった。
そして赤い花と戯れる白い花を見て、マシンレイアースとあなたが対峙する光景を思い出しました。
ずっと伝えたかったことがあります。それを告白するために今日手紙を書きました。
今こんなことを言うとあなたに心配を掛けてしまうかもしれませんが、戦いの終盤に思い出した記憶は私にとって重いものでした。
あの日、姉上が入城した日の私は幼すぎて、なぜ姉上が涙を流して私にイヤリングを渡したのか理解できていなかった。
ただあなたの涙を見て無性に、あなたを守りたい。そう想って心が痛みました。
あの瞬間、あなたが私にイヤリングを渡して手を握ったとき、そして母上と父上と抱き合ったときに記憶消去の魔法をかけたのは姉上、あなただったのですね。
城を後にしたとき、私達は見事にそれまで培ったあなたとの記憶を失っていました。
そして思い出すことなどなかった。あなたが守っていた国で、あなたの気持ちなど知らずにのうのうと暮らしていた私達をどうか許してください。


私は、最後まであなたを守ることができなかった。
だから全てを思い出した今、此処にある大切なものたちをこれから生涯守っていきます。
あの赤と白の花々の美しさをあなたが天から見て下さっていることを祈って。

敬具 フェリオ


PS:姉上にもらったイヤリング、引き取り手が見つかりましたよ。