Laura's Sister

夏の騒がしさも落ち着きをみせて、もう冬物が街のショーウインドウに並べられているのを見て

「そういえばもうすぐ24回目の誕生日じゃん。」 と思い出したくないことを思い出した。

また一つ歳をとる。10代のときは早く大人になりたくて、誕生日を毎回喜び友達と盛大に祝ったものだったが 20代も半ばになると「このまま時間よ停止せよッ!」と叫びたくなるのはきっと私だけじゃない。 カフェでスケジュール帳を開く、こんな休暇の日には見たくもない仕事の予定がギッシリと詰まった紙束だ。

9月25日誕生日のみ@3年前と同じ居酒屋18時。


この「10年スケジュール帳」を買って一番に書いた予定、もう4年前になる。 忘れもしない3年前は、居酒屋で女団員達とバースデーパーティ。 呑みまくって会計が30万ジェニーになったところでお開きにしたら、外でクロロがパクノダを待っていた。

そんな2人をヒューヒューと冷やかしつつ、 ヤキモチを妬いて帰り道一人、最悪な気分を味わったっけ。

あの晩2人はそのまま仕事に行ったのだ。貴族のパーティに忍び込んでお披露目の宝石を盗む計画、あれをプロドゥースしたのはこのあた ペアの招待券をもったクロロは上等なスーツに黒のシックなコートを羽織ってのご登場。 パクノダは持参していたパーティドレスに白のコートを羽織り、二人夜の街へと消えていった。

私は当時あの人におめでとうの一言も言われなかったのが少し悲しかった。
そりゃ誕生日なんて教えてないからもっともなことなのだが。



その数日後、クロロからこの間の依頼の礼だと食事に誘われて、クロロ持ちだといわれたから、二人で呑みに呑んで最終的にはクロロに吐かせた。 泥酔した奴をホテルまで送ってやったら今日は帰さないとか火照った顔で言うもんだから、水風呂まで引きずって浴槽に投げ入れてやった。 ホテル受付で受け取ったクィットゥングには確かに予約者名:ルシルフル様、お連れ様:

そう書かれていたからあの部屋は私と過ごすために予約してくれたらしかった。

それを見つけたのも彼を浴槽に投げ入れた後。


思えばあれが今までで一番のチャンスというものだったのだ。大人しく抱かれておけば確立していた事実。 そのあとクィットゥングを見つけて私は確実にクロロ・ルシルフルに告白していただろう。

でも私よりも酒に弱いクロロが付き合って呑みすぎたせいで、そして吐いたのが間違いで、 それに加えてゲロシーンを目撃してしまったのが私のミスで、 その数時間後ホテルであの口とキスをするなんて何だか考えられなかった。










22歳23歳、この2年間の変化といったら、21歳になるまで3年想い続けていた男がついに恋愛対象から外れたこと。 気持ちは風化し始めると最終地点に到達するのがあっという間で、そういえばあいつ・・・なんてクロロを思い出したのはつい2週間前くらいだ。 最後に会ったのは2年前、ことしヤツは25になっているはず。


久しぶりに会いたいなと思うけど、マチが最近は旅団の活動が忙しいと言っていたし連絡をするのはやめておこう。
会ったって何を話すでもなく時間だけが勿体無く過ぎていってしまいそうだ。


pppp・・・

鳴った携帯のディスプレイにはY・ゾルディックの文字。




今年も呑み明かして24歳へ突入か。
神様へのプレゼント希望は去年と同じ、「27,8までには結婚したいな。」にしておこう。

立ち上がると同時に電話を耳にあて、人が行きかう夕方の風景に身を溶け込ませた。

、俺だけど。」

携帯のスピーカーから聞こえてくる抑揚のない声を、ホッカイロ代わりにして。





END